強引社長の甘い罠

「今日、はじめて会った人たちよ」

「はあ？」

「今朝、いきなり紹介されたの。どうやら私のボディーガードみたい」

「ボディーガード？　どこかのお嬢様みたいだな。どうなってるんだ？」

「さあ？　私にもさっぱり。……あ、すみません」

　歩道で立ち尽くして話していたから、道行く人にぶつかってしまった。迷惑そうに睨んだ男性に私はすかさず謝った。ぶつかってきたのはむこうだけれど、人通りの多い往来で立ち止まっていたこちらにも非がある。

「行こうか。歩きながら話そう」

　良平が私の肩を軽く押したので私たちは歩き出した。私たちが歩き出すと浜本さんともう一人は、私と一定の距離を保ちながら着いてきているようだった。

「もしかして今日、唯が会社を休んでたことに彼らは関係してるのか？」

　良平がちらりと後ろを振り返ってから言った。私も一度振り返ったけど、やっぱり彼らは数メートル後方を歩いている。

「うん。でもごめん、本当に私も何もわからないの。どうしてこんなことになっているのか。夕べ急にしばらくホテル住まいをしろと言われて、今朝になったら勝手にボディーガードを二人つけられたわ。今週は会社を休むようにも言われた」