強引社長の甘い罠
 まだこの土地に親しい友人が少ない私にとって、これは本当に喜ばしいことだった。愛する人の傍で働き、親しいイトコとも昔のように気軽に会える。まだ全てが軌道に乗ったわけではないけれど、祥吾となら頑張っていける。

 彼は相変わらず自信に満ちていて、いつでも私を支配したがるし、私もそんな祥吾にすぐに反発してしまうけれど、私たちはとても幸せだ。私たちはお互いを強く求めているし、それはこの先も決して変わらないと信じられる。祥吾と出会ってからずっと、彼だけを想ってきたのだ。この先の未来を、二人で一緒に切り開いて幸せなものにしていきたい。そのための努力は惜しまないつもり。

「仕方ないさ、唯。桐原さんのような立場なら、親しい人間にも話せないことくらいあるよ。俺にだって口外できないことの一つや二つ、あるからね」

「そんなこと分かってるわ。それでも教えて欲しかった、って思ってしまうのよ」

 私が冗談まじりに、それでもほんの少し恨めしげに祥吾を見上げると、彼は今度はニヤリと笑った。

「悪かったよ、唯。これからは全て話そう。君は俺の優秀な秘書だし、たった数時間前からは俺の妻にもなった。俺たちは結婚したし、これからは何でも二人でやっていこう」

「本当に? 約束よ?」

「ああ、約束だ」

 彼が小指を差し出した。指切りをしようというのね。私は思わず笑ってしまった。指切りなんて子供のとき以来だ。今どきそんなことをしている人は滅多に見ない。でも――。私は自分の小指を差し出すと、彼のそれにそっと絡ませた。

 これから先の人生は祥吾と二人で歩いて行く。支配欲の強い彼に、反抗的な私。きっと私たちはこれからもたくさん喧嘩をするだろう。だけど喧嘩できることは幸せなことだと私たちはもう学んでいる。だからありったけの愛をあなたに伝えるわ。
 世界で一番、誰よりもあなたを愛してる。
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