強引社長の甘い罠
行きと同様、祥吾の車で会社へ戻ってきた私は、会社の前で先に車を降りた。祥吾は契約している地下駐車場に車を停めにいくらしい。
エレベーターで二十三階まで上がると、エレベーター横の自販機でコーヒーを買ったばかりの聡と出くわした。
「あ、聡……」
「唯、今帰り? お疲れ様」
「うん」
エレベーターの上に設置されている時計を確認すると、時刻は既に十九時だった。定時の十八時には帰社できる予定でいたから、打ち合わせが少し長引いたのだ。
もっとも、その原因を作ったのが自分であるから、私は反省するばかりだけれど。
「打ち合わせ、大丈夫だった?」
聡が自販機に背を預けたまま私の様子を窺ってきた。私は咄嗟に目を逸らす。
「う、うん……」
聡はエレベーターホールの奥にある、ホールからは死角になった休憩コーナーに私を誘った。私も黙って彼についていくと、壁際に沿って配置されているソファに聡と並んで腰を下ろす。
一瞬の沈黙の後、聡がおもむろに口を開いた。
「……桐原社長と、一緒だったんだろ?」
「え? 何でそれを……」
エレベーターで二十三階まで上がると、エレベーター横の自販機でコーヒーを買ったばかりの聡と出くわした。
「あ、聡……」
「唯、今帰り? お疲れ様」
「うん」
エレベーターの上に設置されている時計を確認すると、時刻は既に十九時だった。定時の十八時には帰社できる予定でいたから、打ち合わせが少し長引いたのだ。
もっとも、その原因を作ったのが自分であるから、私は反省するばかりだけれど。
「打ち合わせ、大丈夫だった?」
聡が自販機に背を預けたまま私の様子を窺ってきた。私は咄嗟に目を逸らす。
「う、うん……」
聡はエレベーターホールの奥にある、ホールからは死角になった休憩コーナーに私を誘った。私も黙って彼についていくと、壁際に沿って配置されているソファに聡と並んで腰を下ろす。
一瞬の沈黙の後、聡がおもむろに口を開いた。
「……桐原社長と、一緒だったんだろ?」
「え? 何でそれを……」