色恋 〜Colorful Loves〜
「………それでは、逃げましょう」



よどみのない声で、誠一郎さまははっきりと言った。


驚きのあまり、私は言葉を忘れてしまった。



「逃げましょう、清月さま。

そして、月と夜桜を見に行きましょう」



「………なに、を………」



「俺は本気です」



誠一郎さまは私の腕をぐっとつかみ、力づくで立ち上がらせた。


そして、遠慮がちに、私の背に手を回した。



誠一郎さまの吐息が耳にかかり、首筋の後れ毛を揺らす。



胸が早鐘を打ちはじめた。




「………この部屋に入った瞬間に、俺は、あなたに恋をしたのです」




誠一郎さまの声が、私の耳を濡らす。




「美しく着飾ったお姿で、悲しく淋しげな笑みを浮かべるあなたを、俺は放ってなどおけません………」




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