オオカミくんと秘密のキス
私に指差して来る絢人は私を見てケラケラ笑い、つられたように樹里も笑った。





「う、うるさいな!」


どうせキツイ顔してますよっ!





「嘘だよ嘘嘘!」

「冗談♪」


樹里はペロッと舌を出すと、その勢いで絢人の腕にしがみついた。





「相変わらず仲良しだね~そういうところも中学の時から変わってないし」


昔からよく樹里が絢人にくっついてたイメージがあるから、私は仲良くなるまで2人はてっきり付き合ってると思ってたんだけど…

2人はただ仲が良いだけで、交際しているわけではないらしい。






「実はね…私達付き合ってるんだよね~」

「ぇ…」


樹里のその言葉に私は口がポカーンと開く。





つ、付き合ってるの!?

嘘でしょ!?





「…いつから!!?」

「うーん…中学卒業する前くらいからかな?」

「ええ!なんで教えてくれなかったのさっ」


ちょっとショックなんですけど!





「ごめんね…ずっと仲が良いだけでそういうはなかったんだけど……」

「気づいたら好きになってたみたいな?でも恥ずかしくて友達には言えないじゃん」


なるほど。

そういうものなのか…





「おめでとう!なんかよくわかんないけど嬉しいよ!」


友達関係から恋愛に発展するなんて…結構胸きゅんだよね。

中学から2人はお似合いだったし、春子に続いてベストカップルの誕生だね!誕生っていっても結構前から付き合ってみたいだけど、細かいことは気にしないでおこう(笑)






「春子も知ってるのかな?あ、でも聞いたことないし多分春子も知らないと思うな~」


私がそう言うと、樹里と絢人は気まずそうに苦笑いをした…





「…どうかした?」

「え、ううん!別に!ってゆうか萩原は?お前は彼氏とかいるのか?」

「えっ」


絢人にそう質問されると、急に恥ずかしくなる。






「あ、う、……ん。まあね」


凌哉くんの事を思い浮かべると、胸がきゅんとなり頬がポっと赤くなる…





「気持ち悪いな…赤くなってんじゃねーよ」

「うるさい!」


照れている私に引いている絢人の腕を、私はぺしっと叩いた。





ん?


ちらっと樹里を見ると、やや目線が下に移っていて顔が曇っていた。





「樹里…?」

「えっ…」


顔を覗き込む私に気付き、樹里はハッと我に返ったように笑顔に戻った。





「どうしたの?」

「ちょ、ちょっとぼーっとしてただけ!ほら、沙世の彼氏ってどんな人かなぁーって」

「え…」


また凌哉くんの顔が浮かび、乙女モードに切り替わる私。






「同じ学校の人でしかも同じクラスだから…後で紹介するね!」


きゃー!

友達に彼氏を紹介するとか…超恥ずかしいけどめっちゃ嬉しいっ!





「楽しみだなぁ♪………あれ?あんたこんなところで時間潰してていいの?」

「あ゛っ…!!!」


そうだった!

私今、買出し中だったんだ!!!
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