オオカミくんと秘密のキス
いいなぁ。

あんなにかっこいい感じならきっとコンプレックスなんてないんだろうな…

私とはきっと違う人生を歩んで来たんだと思う…羨ましい。






「尾神(おかみ)くん…いる♪」

「かっこいいよね~どこの中学だったんだろ」

「あのクールで近寄り難い感じがいいっ!」


なにぃ!?

クールで近寄り難い…???




後ろの席の女子が友達同士で話している会話が耳に入り、私は思わず後ろを振り返ってしまった。


クールで近寄り難いなんて…いつも私が言われている事!もしかして仲間がいるかもしれないと思った。

女子達の目線を目で辿ると…固まって喋っている男子達の中に紛れ1人スマホをいじっている人がいる。


この人が…その尾神…くん?


その人は…整った顔立ちに柔らかそうな髪の毛は明るく、短すぎず長すぎずといったところ。ちょうどいいくらいの肌の色で、長いまつ毛とくっきりとした二重まぶた。

そして瞳はブラウンですごくきれい。鼻筋はすっと高く薄い唇。制服をなんだかかっこよく着こなしている。


女子生徒達が言うように確かに近寄りがたいオーラとクールな雰囲気…

一見怖そうだしなんか笑わないし…無愛想?だけど周りに友達があんなに集まってるなんてすごいな。まだ入学して3日くらいしか経ってないのに…





「尾神!この前言ってたやつってこれか?」


集まっている男子の一人が尾神くんに話しかけた。




やっぱりあの人が尾神くんなんだ…


尾神くんに話しかけたその男子から始まり、固まっている男子達は次々と尾神くんに話しかけている感じだった。


人気者なんだな…尾神くんて。

失礼だけどあんなに怖そうなオーラしてるのに…ね。ってゆうか、あの人こそヤンキー顔じゃない?

ま、私も後ろにいる彼女達と同じように、尾神くんのこと怖いけどかっこいいとは思うけどな…


でも私の期待してた『仲間』とは違ったみたいだな。

やば。あんまり見てると睨んでるとか思われそうだしこの辺でやめておこう…





「飴食べるー?」


春子がキャンディ入った袋を私に見せながら近づいてくる。私は春子に「うん!」と頷いた。






「見てよ~元ヤンとオタク女のコラボ」

「意外ー」


後ろから聞こえてくる私と春子に対しての陰口。私と春子は目を見合わせて、お互いへっという顔を見せた。



私と春子の合図のようなものだ。





『別にいいけどね』


そんな意味も含まれてる。





高校生活はこれからどんなことがあるんだろう…

期待してないけど…


とりあえず平和に過ごしたいものだ。
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