片道キップを二人分
放課後、猫グッズを買いに行くという徹也さんと待ち合わせをした。
歩きながら、飼い猫のバカさを目尻を下げて話す徹也さんに笑っていると、車道を挟んだ向こう側で足を止めている人になんとなく視線が止まった。
突如鼓動が跳ねて、喉がカラカラに渇いた。
真っ直ぐにあたしたちを見ている斗真の、鋭い目に動きを封じられる。
「…真菜?どした?」
立ち止まったあたしを振り返った徹也さんに、なんでもない、と言って走り寄った。
行こう、と背中を押すようにして、並んで歩き出した。
それでも、あたしの意識はすぐ隣を歩く徹也さんではなく、遥か後方の斗真に向けられたままで。