レイアップ
限界まで瞳に溜まった涙が流れ落ちそうになったその時、ユキは我に返ったようにおちついた声でいった。
「ごめん。なんでもない。違わない・・・。違わないよね。私とミウは今でも友達・・・」
それはまるでユキが自分自身に言い聞かせているような言葉だった。少なくともおれにはそう聞こえた。
「ねえ、ミウ私のことなにか言ってなかった?」
「いや、別になにも。ていうか、ミウがユキと同じ学校だって気が付いたのつい今朝の事なんだ。ユキの制服見てたまたま。まさかあんな奴が聖南通ってるなんて思わないだろ?」
おれがそういうとユキは少しだけ笑った。おれも一緒になって笑う。
「あいつ絶対スポーツ推薦だろ」
こんなことをいうとミウに怒られそうだが、どう考えても普通に試験を受けてユキと同じ聖南に入ったとは思えなかった。しかし、ユキから返ってきた答えは予想外のものだった。
「違うよ。ミウは私と同じ一般入試。中学の頃は特に部活はやってなかったみたいだよ」