レイアップ

前髪に隠れてわからなかったが、ミウの眉は細長く綺麗に整えられ、キリッと力強く斜めに伸びていた。
見てくれは関係ない。どこがで聞いたようなセリフだが、ミウの清々しい顔とその姿は、まるで格闘ゲームのキャラクターみたいで、なんだかカッコ良かった。

「さて、準備も出来たことだし、そろそろ始めますか?」

ミウの人差し指の上でバスケットボールがくるくる回っている。


「ああ、始めよう」

リングを背にミウの前に立った。


「レディースファーストだ。こいよ」


腰を落とし、ディフェンスの姿勢をとる。ボールはまだ、ミウの人差し指の上で回っていた。


「いいね、その顔。やっぱバスケになると空気変わるんだ」


ミウがそういって、嬉しそうにニヤっと笑う。次の瞬間、ボールは勢いよく、天井目掛けて投げられた。
おれの目も、つられて天井を見上げる。ボールはグングン高度を上げ、ようやく最高到達点に達したとき、体育館の明るい照明とピッタリ重なった。
まるで、日食みたいにボールの外枠が綺麗に光っている。

そして、一瞬の日食を終えた太陽は、重力に引っ張られて急降下した。


3、2、1・・・。


さあ、試合開だ。

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