レイアップ
ユキとは小学生の時から中学を卒業するまで、ずっと同じクラスだった。
毎日、この通学路を二人並んで歩いていた。ユキは昔から身長が高く、周りの子供たちより数段大人びた顔立ちで、それとは対照的に、おれは、チビで引っ込みじあんなおとなしいガキだった。
そのせいもあってか、よく周囲から姉弟と間違えられることもあった。
当時、おれにはそれがとても気に食わなかった。
今こうして並んでみると、あの時、見上げていたはずのユキの顔が下にある。
おれが、ユキの身長を抜いたのはいつ頃だっただろうか。毎日一緒にいると小さな変化など全く気づかない。だが、少し距離を置くと、互いの変化に驚くほどの違いを感じた。
日焼けとは無縁といわんばかりの雪の様に白い肌、クセなく真っ直ぐ伸びた黒髪、艶やめく薄い唇。少し風が吹くと、長い髪がサラリとなびいて、シャンプーの香りと、甘い香水の匂いがほんのりと香る。
いつの間にこんな色気を身にまとう女になったんだろう。
偏差値が高く、お嬢様学校で有名な聖南高校の制服もよく似合っていた。