レイアップ

一方おれは、毎日洗濯を繰り返してシワだらけのシャツとタンクトップ。だぶだぶのズボンは裾が削れて色落ちしている。

美女と野獣とまではいかないけれど、明らかなミスマッチの二人に、すれ違う人たちの視線はどれも同じだった。

まず、ユキを見て、その次にオレを見るなりすぐさま目を反らす。

いいたいことは何となくわかるけど、それを気にせず無視できるほど、おれは人間ができていない。

思いっきりガンを飛ばして二度とこっちを向けない様にしてやる。高校に入って唯一学んだおれの特技だ。

「やめなさいよ、シュウイチ。本当、いつまでたっても子供なんだから」

ユキにピシャリと一喝され、おれは、眉間に寄せたシワをもとに戻した。


ユキとの関係は昔からこんな感じ。

宿題を忘れては怒られ、写させてもらう。転んで怪我をしては怒られ、バンソウコを貼ってもらう。イタズラをしては怒られ、蹴りをくらう。

そして、手をつないで、毎年恒例の夏祭りへと出かける。

そういえば、最後にユキと花火を観たのはいつだっけ?

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