不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「泣きそうな顔してる」

 藤野くんの大きな掌が降りてきて、私の頭をすっぽりと覆う。
 その行為にドキっとしながらも、涙腺がじわじわと緩んでいきそうになる。
 ダメだ。ここは会社なのだから泣いてはいけない。

「とりあえず……午後の業務、集中してがんばれ」

「うん」

「終わったら飲みに行こうよ」

「え、ちょっと、藤野くん!」

 私の返事も聞かずに、藤野くんが言い逃げするようにして部内へ戻っていった。


 午後の業務が始まるとすぐに、笹岡さんが部に戻ってきた。
 椅子に座るなり私に、わざとらしく「ごめんね」と小声で謝ってきたけれど、私は適度に会釈するだけの反応に留めておいた。

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