不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 今度の大口の取引先である(株)J&Uの前の営業担当者は、はっきり言ってボンクラな若造だった。
 どうしてこんなデカい案件の担当になれたのかと思うようなヤツで、俺は最初から呆れていた。

 ビジネスでの物の言い方というものを知らない輩だから、案の定うちの営業部長とウマが合わなかった。
 それを悟った先方の上司が、マズいと思ったのか担当者を変えてきたのだ。

 そして、新しい担当者を紹介されたとき、俺は驚きすぎてそのまま固まってしまった。
 どういう運命のいたずらなのか、と。


 彼女は仲里 (しおり)
 俺が大学時代に付き合っていた人だ。

 ――― 要するに元カノになる。

 まさか、こんな形で再び会うことになろうとは思いもしなかった。

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