不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 風見さんの腕を取り、まとわりつくように何かを懇願しているのは、見覚えのある顔だった。第一営業部の田中さんだ。

「キャバクラならお前が連れて行けばいいだろうが。俺は行かない。勘弁しろよ」

 キャ、キャバクラ?!
 私はその言葉を聞いた途端、なぜだかわからないが通路の曲がり角にそっと自身の体を隠した。

 これじゃあまるで盗み聞きをしてるみたいだけれど……
 なんとなく、そのままふたりの前を素通りするのがはばかられたのだ。
 要するに、キャバクラという言葉に動揺して出ていけなくなってしまった。

 うつむきながら、手に持っていたファイルを胸の前でギュッと抱きしめる。
 だけど無意識に神経は耳に集中し、風見さんたちの会話の様子を伺った。

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