不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「接待に行ってください、と言ったときのことです。余裕ぶって無理して笑っていました。本当は不安で仕方なかったのに」

「お前……」

「正確に言うと、仕事を頑張ってほしい気持ちと、すごく不安な気持ちが私の中で闘っていました。だけど不安な気持ちのほうはさらけ出しちゃいけない気がして……咄嗟に隠しました」

 切れ長の瞳にじっと射貫かれる。
 いつもと違って無表情で、風見さんから感情が読み取れない。

 だけど、女は度胸だ。
 私は負けじと風見さんを見つめ返した。

「“信じろ”って言ってくれた風見さんを、信じなかったわけじゃありません。風見さんが平気で人を裏切るような、そんな人じゃないのはわかっています。でも、私は風見さんが好きだから……ほかの誰にも、たとえ元カノの女性にも、一瞬でも奪われたくはないです。遠慮や我慢なんかしないで、それを昼間にちゃんと言うべきでした。このあと仲里さんとどこかに行ったり、元サヤに戻ったりしたら嫌だから、この気持ちを今伝えたくて。必死に……必死に風見さんの元へ走ってきました!」


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