不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 それはさすがに狡いと思う。
 自分だけ逃げるなんて、狡い上に卑怯だ!
 なぜ関係のない私がまた矢面に立たないといけないのかわからない。

 苦虫を噛み潰したような顔で、どうしようと狼狽する私をよそに、大慌てでデスクの上を軽く片付けた笹岡さんが席を立つ。
 そして、座っている私に体を折り曲げるようにして声を発した。

「頼むよ~、乗りかかった船だろ?」

 乗りかかったつもりはありませんでしたけど。
 というか、無理やり乗せられたようなものだ。

「そんなのまどかに見られたら修羅場になるよ。だから、俺が今ここに居ないのが一番正解だと思う。皆口さんにはさ、緒川さんから上手く言っといてよ」

「あ、ちょっと!」

 言い逃げするように外出していった笹岡さんを、このときほど心の中で苦々しく思ったことはない。
 今まで私の中でイメージしていた“爽やかアイドル系イケメン”の称号も、勝手に剥奪させていただく。

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