巡逢~茜色の約束~
そんな俺を見る親友の目が次第に険しくなっていったのは、一生忘れらんねぇと思う。



ある日の放課後、俺達は階段の踊り場で鉢合わせた。

きっと何事もなく通り過ぎるんだろう、そう思っていた矢先、声を掛けられた。

龍堂に行くのか、と問われ、俺はすぐに首を振ることが出来なかった。



それを見たソイツは……。

……。

……。



悪りぃ、大丈夫だ。

……話すよ、全部。

話すって決めたのは、俺だ。



……理性を失ったソイツは、目に涙を溜めながら俺に近付いて。

次の瞬間──俺を階段の下へと突き落とした。



よくドラマや小説なんかである、見えてる景色が全部スローモーションのように思えるって、あれ、ほんとなんだなぁ。

ゆっくり、視界が歪んでいった。

俺が右半身を床に打ち付けるまで、多分すぐだったんだろうけど。



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