好きになんてなるわけねーだろ!!!


「…で、なにがあったわけ?」

『別に、なにもねーよ。』


いつもなら、部屋に入ってくるなり、遠慮もなく物をあさりゲームを始め、挙げ句の果てにはベッドですやすやと寝息を立て始めるこいつ。

そんな慶太が、落ち着いて座り、俺が出したお菓子に目もくれないんだから嫌になる。


……真面目になると、妙に鋭いし、痛いとこ突いてくるんだよな。

で、どうやら今回も見逃してはくれないらしい。


「そんな辛気くさい顔してなに言ってんの?」


冷静に突っ込まれた俺は、諦めて、話すことにした。

自分の中でも、整理できていなくてぐちゃぐちゃなままのこの気持ちを。


『…自分でも分かんねーんだよ。俺がなにをしたいのか。結果、どうなってほしいのか。

最近、妙にむしゃくしゃしたり、今日なんて、杏奈に当たっちまうし。
自分でも驚くほど、杏奈が泣いたのに動揺したり。

本当に、訳分かんねーんだよ。』


俺が、ぼそぼそっと呟くようにして言うと、慶太は、驚きの表情を見せた。

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