ツンデレ専務と恋人協定
本当に何も喋れないくらいの熱い口づけに、呼吸すら出来なくなりそうで、専務に回している自分の腕に力が入る。


「栞奈…くるしい」

力が入りすぎてしまっていた私に、専務は唇を離し苦笑いして言ってきた。

私は思わず、回していた腕を一気に専務から離す。

すると、専務は私の頬に手を触れ、そのまま滑らすように浴衣の襟を全開に開き真っ赤の下着を露わにする。

見られるのが恥ずかしくて、手で下着を隠すけども、すぐに専務によって阻止された。


「俺が選んで正解だったな」

そう言って、いやらしい笑みを浮かべる専務。

上からジックリと下着を見られていて、恥ずかしくて視線を反らせていた。


「栞奈、俺を見て」

ゆっくりと視線を専務へと、戻すとまた唇を塞がれる。

必死に専務の口づけに応えていると、私たちの甘い吐息と布団が動く音しかしないこの部屋に専務の携帯が鳴り響いた。

だけど、専務は聞こえていないかのように、止める気配はない。


「んっ…専務、電話…」

「……うん」


唇が離れた隙に言ったけど、専務は返事をするだけで、今度は唇を胸の上へと這わす。

それと同時に手は再び下着の下へと入ってきて、柔らかなそれを揉み始めた。

私はそれに体が勝手に反応して、腰が浮いてくる。


「ぁあ…っ…」


鳴り止んだ着信の音の代わりに私の声が聞こえてしまったけど、またすぐに携帯が鳴り出し、私の甘い声をかき消す。


「電話、出た方が…」


ずっと鳴り続く電話に専務は私から離れやっと電話に出た。

私は火照ってしまった体を持て余しながら、私に背中を向けて話す専務の様子を伺っていた。

一緒にいる時に電話が鳴ることなんてほとんどなかったし、それにこんなにしつこく鳴っていたのなら、何かあったのかもしれない。

電話を終えた専務は、困った顔で私を見てきた。


「どうかしたんですか?」


専務の表情から電話の内容が良くなかったのはわかる。


「ばばあが倒れたって」

「え?」


会長が倒れた?
病院に運ばれたばかりで、詳しい事情はまだわからないみたいだけど、私たちは急いで旅館を出た。

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