ツンデレ専務と恋人協定
専務はもう一度私に泣くなよと念を押してから、私を解放した。


「それから、お前のこと役に立たねぇって言ったのは本気じゃねぇぞ?役に立たねぇやつをいつまでも側におくわけねぇだろ」

「でも主任ほど役には立ってないのはわかってます」


専務の言葉は素直にうれしいけど、やっぱり自分でも主任みたいに役に立ちたいと思う。


「確かに宮尾さんは完璧に仕事をこなすけど、俺がお前に求めてるものとは違う」

「私に求めてるものってなんですか?」


専務が私に何を求めているかなんて考えたこともなかった。

役に立ちたいや主任みたいに頼りにされたいって思って、余裕をなくしていただけだった。


「お前は俺のそばにいるだけでいい。だからあんま頑張りすぎて無理すんな。お前に無理させねぇためにわざわざ宮尾さんを呼んだんだからな」

「え?」

どういうこと?
主任を専属秘書にしたのって私が役に立たないからじゃなくって、私に負担をかけないため?

そう言えば、専属が私を体調不良だと思って気遣ってくれた翌日から主任がやってきた。


「だからパスポートを早く作れ。出張は毎回お前を連れてくからな」

「仕事できないのに?」


外国語も一切話せないし役に立たないのに私を連れてくの?

「お前の仕事は俺のそばにいることだろ」


< 71 / 232 >

この作品をシェア

pagetop