夢幻泡影
非番の幹部は瑛と散歩するのが、楽しみになっていた

しかし、今日はお千と繕い物を一緒にしていた


「あら、あんさん裁縫も上手やなぁ!
もしかしたら、料理もできる?」

頷く

「ほんなら一緒に饅頭つくらへん?」

頷く

「幹部さん達に食べてもらおな!?」

頷く





繕い物を終え炊事場へ


「うち実はな、あんさんと饅頭作りとうて、材料持って来てるんよ!」


『どうしてあたしと?』


疑問を感じながらも饅頭作りをはじめる

お千の言った通り準備は万端だった

『蒸し饅頭だ。』

瑛は材料ですぐにわかった











「手際ええなぁ!

あっという間に饅頭ができてしもた!」

お千が感心する


「幹部さん達に集まって貰お!お茶の支度お願いな!」

頷いて取りかかる



広間に集まった幹部たちは

「何事だ?」

集められた理由を知らなかった



「失礼します!」

瑛とお千が饅頭とお茶を持って入る


「二人で作ったんです!どうぞ!」

「「「 おおおーー!!! 」」」


幹部たちは一斉に喜びの声をあげる!


「うめえーー!!」「うまい!!」


「出来たてですからね!」


「ありがとな!」
「ありがとう!」



瑛とお千はこんなに喜ぶとは思ってなかった為、驚いた

「作ってよかったね!」

瑛が頷く

『人にお礼を言われるのは、はじめて』


「うふふっ。この子に饅頭作りを教えたかったんやけど、ほとんどこの子がちやっちやっと作ったんよ!」

「へえー!!」

「あんさん、料理もできるんやったな?」

頷く

皆の目が輝く

「作ったげ?」

頷く


「え?いいの?」「ほんとか?」

「よっしゃーー!!うまい飯食える!」


「まだ、体力が十分じゃねぇんだ!
洗濯だってきつい! お千と一緒の夕餉だけだ!」


皆ががっかりする

『いいのに……』

がっかりする姿を見て、がっかりする瑛


「うち、二日に一度ここに来るようになったんよ?」


瑛と皆が一斉に顔をあげる


「そういうこった、毎日は無理だ!二日に一度の夕餉のみ!よろしく頼む!」


「やったぁーー!!!」






「あんさんを頼りにしてるんやで!?」

瑛の肩に手を置きお千が言った





『あたしを…?なぜ?
あたしを…頼る?』



よくわからないが、嫌な気持ちではなかった
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