夢幻泡影
その朝を境に瑛は食べる量を増やす

皆が喜ぶから、頑張った


体力も少しづつ戻り、女中の仕事を無理なくこなせるようになった


皆から、感謝され、誉められた



穏やかな日が続くと思っていた




しかし……




お千が亡くなった



瑛はお茶を出すため行った、近藤の部屋の前で聞いてしまった


「不逞浪士に恐れて、斬られたらしい」

「お千さんは、いい人だった。うっ…うっ。」


瑛は近藤の部屋へ入った

幹部たちが揃っていた

瑛になんと言葉をかけていいかわからなかった


無表情で皆にお茶を出し、近藤の前に行き頭を撫でた


山南から、新選組の仕事を聞いていた

悪い奴から、いい人を守るんだって



『あたしは、いい人ではない、なのにたまたま助けられた。
お千さんはいい人だった。たまたま助けられなかった。

だけど、新選組のせいじゃない。

近藤さん…泣かないで……』



近藤が瑛を抱き寄せる


「すまない。お千さんを守れなくて……」


横に振る


「泣いてもいんだぞ!」


土方が声をかける



横に振る







『お千さん…強くなるから!
あたし…新選組を守るくらい強くなるから!
笑って、怒って、色んな顔ができるようになるから!
見ててね!』
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