夢幻泡影
努力
年が明け、新選組の皆と初詣へ行くことになった

ワイワイと騒ぎ、歩く皆と違い


瑛はしょんぼりしている


町の人の声が耳に入る

瑛は耳がいい。



〝新選組や!〟〝人殺し!〟〝怖いわぁ〟



『こんなに優しい皆をどうして?』


「どうした?」

瑛の様子に気づいた斉藤が声をかけた


首を横に振る




『お千さん…負けそうだよ……』





『もしかしたら、あたしといるから…?』






瑛が立ち止まる





「おい!迷子になるぞ!」


すぐに土方に手をひかれる


「お前…町の奴らの声が聞こえてんだろ?」


瑛が顔をあげる


『凄い!どうしてわかるの?』


「ククッお千が恋しいんだろ!?」


『副長になる前は陰陽師かな?』


ジロジロ土方を見ていると


「前向いて歩けよ!転けるぞー!」


といわれ、小石に躓く


「おい!!…たくっ!前みて歩かねぇからだ!!」


また、しょんぼりする



無表情だが、瑛は案外単純で幹部たちに心が読まれるようになっていた。


「あー!土方さんがいじめるから、しょんぼりしてる!!」


沖田が意地悪く言う


「いじめてねぇーーー!!!」


『土方さんと沖田さんはどうしていつも喧嘩するんだ?』


首を傾げる



「はっはっはっ!! 仲が良いなぁー!!」



『……ひへ?』




近藤が豪快に笑い言った言葉が理解できなくて、へんな声を心の中でだした

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