夢幻泡影
「副長、瑛を連れて戻りました」


部屋にいた者が、一斉に瑛を見る


『怖い…怖い…』


山崎の着物をぎゅっと掴む


瑛は、無表情だった


山崎に連れられ、真ん中あたりに座る


「副長、俺から少し説明させて下さい」


瑛の様子で、話せないと判断して山崎が言う


「駄目だ…俺は瑛から聞きたい」

「ですが!!」

「山崎!! 外してくれ…」


山崎が目を見開く、普段土方に意見しない山崎がこの場を外された


「…失礼致しました」


幹部達も土方が、山崎を外したことに驚く


「瑛…俺はお前を疑っている!」


瑛が土方を見る


沖「ちょっと!!土方さん!!」

「黙ってろ!」






『ちゃんと話をしよう!きちんと自分の口で言わないと!』

瑛は心を奮い立たせる


「瑛、お前は長州の間者か?」


「長州の者ですが、間者ではありません」


土方をまっすぐ見て言った


はっきりと〝長州〟と言ったことに皆の心に不安が募る
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