【完】千鳥の舞う花火。








今回の引っ越しは、父さんの仕事の都合によるもの。





向かう先は五年前まで住んでいた地元。



五年前も、仕事の都合でこっちに引っ越して来たんだ。





当時中学一年生だった俺は引っ越しが嫌で、それこそ赤ん坊みたいにごねまくって。



もう高校三年生だと言うのに、父さんはそのことを心配しているらしい。





「……アイツらには悪いけど、俺さ、この引っ越し少し嬉しいんだ。」



「へぇ、なんでだ?」





ミラー越しに、父さんと目が合った。



面白い話と思ったのか、今まで黙っていた母さんまでもが「何、なに?」と目を輝かせている。





二人に話そうか迷った。








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