聖夜に舞い降りた天使
僕は幼い頃預けられた託児所で親が迎えに来ず、それから孤児院へと移った過去があった。

その時の不安な気持ち、寂しい気持ちは未だに僕を苦しめ、忘れることができない……





他人に対してどこか距離を置く付き合いを無意識にしてしまうのも、そのせいかもしれない。


僕は未だに人を愛するということがどういうことなのか分からずにいた。

感情が欠落しているのだ。





だから、アンジュに対してこんな気持ちを抱いてしまうのが不思議だった。

彼女は本当に天使で、僕に愛を教える為に天から舞い降りたのかもしれない……





だが


「じゃ、もう遅いしゆっくり寝て。
僕はリビングで寝てるから何かあれば起こしてくれても構わないから」


どうせ眠りは浅いのだ。

少しの物音でも目が覚めてしまうし、朝まで深く眠れたことは今までに一度もなかった。


アンジュはそれを聞いて、寂しそうに言った。


「ルネ、行っちゃうの……?」


(なんで、そんな寂しそうな顔するんだろう)


「うん……」





そう言ったものの、
アンジュの寂しそうな顔が気になって扉のドアノブに手を掛けたまま開けられずにいた。





「お願い、もう少しここにいて……」





アンジュは僕の心に揺さぶりをかける。


「分かったよ……」





僕は簡単に陥落した。




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