聖夜に舞い降りた天使
「何、探してるの?」


「厚紙とのりとはさみとクレヨン、ある?」


「えっ?」


「まかせて。こう見えて、私クラフトは得意なの」





少し的外れなアンジュの言葉に笑いを押し殺して、部屋の中を詮索した。





「のりとはさみと絵の具はあるけど、厚紙は……
あ、ちょっと待ってて」





部屋を出るとキッチンへと向かい、シリアルの入っていた箱を持って戻って来た。





「これでどう?」


アンジュはとびきりの笑顔で答えた。


「うん、完璧!」





アンジュは下書きなしではさみでクリスマスツリーの形に2枚切り取るとそれに絵の具で塗っていく。


僕はアンジュの助手として絵の具の水を用意したり、ゴミを捨てたりしながらアンジュの作業を見守った。


2枚のツリーを組み合わせて立たせると、次に様々な形のオーナメントを切り取って絵の具で塗る。





「出来たわ!」





緑に塗られた裏の部分はいいが、表は絵の具が塗れず、シリアルの箱のデザインそのままの貧相なクリスマスツリーが出来上がった。





アンジュはそれを満足そうに眺めている。





そんな彼女を愛おしいという気持ちが込み上げてきて、同時に戸惑う。





(さっき出会ったばかりなのにこんな感情を抱くなんて……


彼女が綺麗だから浮かれているのかもしれない)




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