聖夜に舞い降りた天使
「でも…僕たちさっき出会ったばかりだ」


昂る感情をアンジュに悟られないようにしながら僕は言った。





「ルネは、私のこと嫌い?」





アンジュが下から僕の顔を覗き込む。

アクアマリンの濁りのない瞳が僕の隠そうとしている感情を全て暴いてしまう。





「そ、んなこと、ない……


アンジュに惹かれているのは事実だ、けど……」










アンジュは僕の唇に温かみのある柔らかな唇を軽く重ねた。









「ア、ンジュ……」





驚いて後ずさりする僕に、アンジュが悪戯っぽく笑みを浮かべた。





「『タイタニック』のジャックとローズが短期間で恋に落ちたからって非難されたことがあったかしら?

恋に落ちるのに理由なんてないし、時間なんて関係ないのよ」





アンジュの自信たっぷりの恋愛論におかしくなって思わず笑ってしまう。


「ぷぷっ…」


「ちょっ、ルネ!!
私は真剣に話してるのよっ!!」


アンジュは少し眉間に皺を寄せて怒っているようなフリを見せる。





そんな彼女も可愛くて仕方がない。











(あぁ、そうか……





僕は恋に落ちたんだ……)










アンジュをあの公園で見つけた時から


恋は始まっていたのかもしれない……








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