これは絶対に恋じゃない



いつもなら、講義開始10分前には必ず席に着いている舞香の姿が見えなくて、私は辺りをキョロキョロと、見渡す。


「…あ、舞香ならさっきLINEしてみたんだけど、まだ返事こないの。凛もだけど、舞香が遅いのも珍しいよなぁ…」


「そうだね、どうしたのかな。舞香…」


そんな話を晴海としている間に、講義開始のチャイムが鳴り、先生が入ってきた。


先ほどまで騒がしかった教室も急に静かになる。


…舞香には、私も後でLINEしてみよう



そう思いつつ、私はバッグの中から教科書とルーズリーフを取り出したのだった。




< 230 / 291 >

この作品をシェア

pagetop