ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「恋の、お守り…」

店のおばさんの言葉を姫は繰り返す。


「これ、ください!」


姫は即決したらしく、おばさんに申し出た。


店から出ると姫は早速ローズクォーツのブレスレッドを手首につけた。

陽の光を浴びて煌く石に、姫は夢中だった。


「よい買い物をされましたね」


あたしが声をかけると、姫は嬉しそうに「ええ」と微笑む。


「恋のお守り、ですって」


ふふ、と嬉しそうな顔をする。

その横顔は恋する乙女そのもので、可愛らしいのに胸がぎゅっとなる。


「姫は恋をされているのですか?」


そう問いかけると、姫は途端に顔を真っ赤にした。

何も言わないけれど、それは肯定と同じだ。


「…そうなんですね」


あたしが目を細めると、「わ、分かっているのです」と姫はしどろもどろになりながら答えた。


「私が恋をしても、結末は変わらないと。

私が将来結ばれるとしたら、それはこの国に利益をもたらすお人でしょう。

私には選べません」


それは定めなのだと言う。


「だから、分かっているんです。あの人とは結ばれないことを。

この気持ちも伝えてはいけないことも。


それでも思い続ける勇気が欲しかったんです」



ブレスレッドを握りしめて、姫は決意したような、自分の未来を諦めたような、そんな顔をする。


「姫が恋しているのは__」

翔太ですか、と問おうとしたその時だった。


目の前にあった屋台が突然爆発した。

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