ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

失われた魔法

キャア、と叫び声があたりに響き渡り、辺りは混乱する。


「お、おい!あれを見ろ!」

辺りにいた人の慌てる声にふっと空を見上げると、巨大な金属片がいくつも降ってくるところだった。


「早く逃げて!」


あたしの叫び声に辺りにいた人達は慌てて逃げだす。

姫を庇いながら逃げ出したその瞬間、巨大な金属片はさっきまであたし達がいた場所にものすごい早さで落下した。

姫を守らなきゃ。

杖を取り出したところで、何かの音が聞こえてきた。

唸るようなその声が魔物のものだと気づくと同時に、それは姿を現した。


金属片が落下してがらくたになった屋台の残骸の上に、巨大な白い虎が佇んでいる。

その虎から発せられる魔力は並みの魔物とは比べものにならない。


「出てきてしまいましたわね」


姫は重々しく呟く。


「聖獣がひとつ、白虎_______パイフー」



パイフー、それは金属を司ると言われる白い虎。

聖獣の中でも最も古くから存在するとも言われる魔物だ。



「こんなところに出てくるなんて」



ここは城下で最も栄えるマーケット。

沢山の人通りがあり、多くの人が突然現した魔物に驚き逃げ惑っている。

おまけにすぐそこには王城もある。

こんな場所で聖獣と出会してしまったら、街にどれだけの被害を出してしまうか。

あたしは杖を握りしめて「結界を張ります!」と叫んだ。

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