ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「…お前、何言ってんだ?」


翔太の顔は強ばっていた。

サファイヤとの戦いのことを思い出しているのかもしれない。

翔太のいないところであたしが魔力を失ったのは、あの時以来だから。


「本当に使えないのか?」


あたしは不甲斐なくて俯いた。


…悔しい。

こんな非常事態に力になれない自分の無力さが。

魔法使いなのに、魔法が使えないなんて。


戦えないなんて。


「ちっ、"結界魔法・シールド"!」


翔太は苛立った顔をしながらシールドを街全体に張った。

翔太の杖から発せられた優しい緑色の光はぐるりと街を包んで、あたし達とパイフーを街から切り離す。


「話はパイフーを封印してからだ。姫のそばから離れんなよ」


それだけ言うと翔太はパイフーを見据えた。


「お待ちください、翔太様!お一人で戦われるおつもりですの?」


今までずっと黙って聞いていた姫は慌てて問いかける。

翔太は穏やかな顔で「必ず貴女様をお守りします」と言う。


「無謀ですわ!」

「姫の仰るとおり無茶だよ、そんなの!」


けれど翔太はあたしを見るといつもの不機嫌そうな顔をして「由良うるさい」と言う。


「"サファイア"がそんな簡単にやられるわけがねえだろ。

怪我人は黙ってみてろ」

< 144 / 215 >

この作品をシェア

pagetop