ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「そう…」と美玲は悔しそうに眉を下げて呟いた。

魔力を失った理由が分からなければ、処置もできない。

海音寺グループを将来しょって立つ立場の美玲にはそれがもどかしそうだった。


「まあ、分からねーもんはいくら考えても分からねーから、とりあえずできることをやろうぜ」


暗い雰囲気をぶち壊すように雅人が明るく言った。


「え、できること?」


首を傾げるあたしに、雅人は歯を見せて笑った。


「何かしらあるだろ。魔力がなくなってもできること。魔力だけが全てじゃねーんだから」


まるでお父様みたいなことを言う。

お父様、ひいては"ガーネット"の隊員になることに憧れているらしい雅人だけど、その思考はすでにお父様に近づいているのかもしれない。


「お父様に言われたの。次に聖獣が出る場所を特定して翔太に伝えろって。聖獣を解き放った犯人と目的も調べ上げろって」


「相変わらず無茶なことを言うんだよね」と笑ってみせると、雅人と美玲は顔を見合わせた。

そんなの無茶苦茶だ、と言い出すかと思ったら二人とも不敵な笑みを浮かべて言った。


「要するに、少ない手がかりから事件に繋がる全てを解き明かせばいいってことでしょう?」

「問題が難しいほど燃えるよな、こういうのって」


予想とは違う二人の反応に戸惑いを隠せずに「え、二人とも?」と呼びかけるけど、なぜか二人ともやる気に充ち満ちていた。
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