ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「初めて来た…」


雅人は目を見開いて景色を眺める。

それもそのはず、ラトノスはかつては多くの人が住み栄えていた場所ではあるが、今は誰も住んでいない。

魔獣すら棲みつかない枯れ果てた土地にわざわざ来る用事もない。


「それで、なんで次に聖獣が現れるのがラトノスだって分かったんだよ」


翔太の問いに、あたしは何から答えたらいいのか迷ってこう尋ねた。


「国土封印結界って知ってる?」


その言葉に翔太と雅人は不思議そうな顔をしながら頷いて、美玲だけは首を傾げた。


「前に大学の講義で習ったことがあるぜ。たしか大昔に、建国を導いた五つの聖獣の加護が永遠に続くようにって、その時の優秀な魔法使いが王国に封印した…ってやつだろ?」


雅人の説明は大雑把だけど大体正解だ。

あたしが頷くと「そんなの習ったことがないわ」と美玲が不満そうな口調をする。

国土封印結界の名前はまだしも、その詳しい経緯について学校では習わない。習うとすれば魔法歴史学科の学生くらいだろう。

しかし美玲だけが知らないということは今までにあまりないことで、魔法歴史学科の雅人は得意げな顔をして美玲をいじるが、こてんぱんに返り討ちにされている。

全くいつまで経っても学ばない人だと思っていると、翔太が尋ねた。


「それが何の関係がある?」


そう、大事なのはここからだ。



「国土封印結界の魔方陣だよ」


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