ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「それより、姫にお目通りかないたいのですが」

翔太の言葉にクリスさんは「もちろんでございます」と頷いた。

「今からご案内致しますが、お二人とも箒はお持ちですかな?」

あたしと翔太は顔を見合わせた。

クリスさんの言っている意味が良く分からなかったのだ。

「え、ええ、持っていますが…」

「それならようございました」

なぜか嬉しそうに微笑むクリスさんに尋ねる。

「クリスさん、なぜ箒のことをおっしゃるのですか?」

あたしの問いに重ねる様に翔太が言った。

「つまり、姫は箒で移動しなければならない場所にいらっしゃるのですか?」

「ええ、左様にございます」

クリスさんは頷くと言葉を続けた。


「姫は今、『泉』にいらっしゃいます」


あたしは目を見開いた。


「それは依頼書に書かれていた、森の中の泉ですか?狂暴な魔物が出るという?」

「はい。左様にございます」

頷くクリスさんに「なぜです」とあたしは言葉を投げかけた。

「なぜ、そのような危険な場所に姫様を?どうして止めにならなかったのですか?姫様に何かあったら…」

興奮したように話すあたしに「落ち着け」と翔太が肩を置く。

「きっとそれは、この城の人々も考えていることだろう」

「そうですよね」と翔太に言われたクリスさんは「おっしゃる通りでございます」と肩を落とした。

「私共も、何度も姫様を止めました。そのような危険な場所に行ってはならないと、危険な目に遭わせるわけにはいかないと。ですが、姫様がおっしゃったのです。

『これは私の使命なのです。私がやらねばならないことなのです』、と」

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