溺惑バレンタイン(『恋愛遺伝子欠乏症 特効薬は御曹司!?』番外編)
戸惑う亜莉沙を抱いたまま、航は再びエレベーターに乗り込んだ。航が押したのは、最上階の二十八階のボタン。
「あの、航さん……どこに……」
亜莉沙の問いかけに答えることなく、航は唇を引き結んで壁の階数表示を睨んでいる。二十八階で降りると、航は亜莉沙を抱いたまま廊下を進む。すれ違った男女の二人連れが驚いたように一歩下がり、亜莉沙は今さらながら恥ずかしくなった。
「航さん、下ろして」
「イヤだ」
そうして航はある部屋のドアにカードキーを差し込んで片手で開けた。
「航さん、一人で泊まりたかったんじゃ……?」
「スイートに一人で泊まるわけないだろ」
航はぶっきらぼうに答えて、亜莉沙を抱いたまままっすぐに歩いて行く。広いリビング・ダイニングを抜けてバスルームの前に来ると、ようやく亜莉沙を下ろした。戸惑ったままの亜莉沙の両肩に手を置いて、彼女の潤んだ瞳をじっと見ながら言う。
「俺は本当にバカだ。亜莉沙の驚く顔が見たくて、ディナーの前から準備したもんだから、茹で上がったりしないか気が気じゃなくて……」
(茹で上がる?)
亜莉沙が不思議そうに見返すと、航が照れたように笑いながら、バスルームのライトを点けてドアを開けた。その向こうに広がる光景を見て、亜莉沙は息を呑む。
「わあ……」
「あの、航さん……どこに……」
亜莉沙の問いかけに答えることなく、航は唇を引き結んで壁の階数表示を睨んでいる。二十八階で降りると、航は亜莉沙を抱いたまま廊下を進む。すれ違った男女の二人連れが驚いたように一歩下がり、亜莉沙は今さらながら恥ずかしくなった。
「航さん、下ろして」
「イヤだ」
そうして航はある部屋のドアにカードキーを差し込んで片手で開けた。
「航さん、一人で泊まりたかったんじゃ……?」
「スイートに一人で泊まるわけないだろ」
航はぶっきらぼうに答えて、亜莉沙を抱いたまままっすぐに歩いて行く。広いリビング・ダイニングを抜けてバスルームの前に来ると、ようやく亜莉沙を下ろした。戸惑ったままの亜莉沙の両肩に手を置いて、彼女の潤んだ瞳をじっと見ながら言う。
「俺は本当にバカだ。亜莉沙の驚く顔が見たくて、ディナーの前から準備したもんだから、茹で上がったりしないか気が気じゃなくて……」
(茹で上がる?)
亜莉沙が不思議そうに見返すと、航が照れたように笑いながら、バスルームのライトを点けてドアを開けた。その向こうに広がる光景を見て、亜莉沙は息を呑む。
「わあ……」