溺惑バレンタイン(『恋愛遺伝子欠乏症 特効薬は御曹司!?』番外編)
航が黙ったままコーヒーを飲んでいるので、亜莉沙は自分が彼を困らせてしまったことを後悔した。
どちらかの部屋で一緒に夜を過ごすものだと思っていたけれど、それは亜莉沙が勝手に思い込んでいただけで、今日航とはディナーに行こうという約束しかしていない。
(航さんは夜、家に帰らないで済むように自分だけ泊まって仕事の疲れを癒すつもりだったのかもしれないのに)
亜莉沙がコーヒーを飲み終わったのを見て、航が言った。
「もう出よう」
「あ、うん……」
航と過ごす時間がもう終わると思うと、耐えられないくらい寂しい。せめて気持ちよくお別れしよう。
航は会計係に合図をして伝票を持って来てもらうと、カードで支払いの手続きをした。その間もずっと無言で、亜莉沙の方は見ずに考え込むように眉間にしわを刻んでいる。
「ありがとうございました」
クロークでコートを受け取り、係員に見送られてレストランを出たものの、航は黙ったままエレベーターホールに向かって歩いて行く。彼の横顔が、見たことがないほど険しくて、亜莉沙は胃が締めつけられるような不安を覚えた。
(忙しくしてる彼を気遣ってあげなかった……)
どちらかの部屋で一緒に夜を過ごすものだと思っていたけれど、それは亜莉沙が勝手に思い込んでいただけで、今日航とはディナーに行こうという約束しかしていない。
(航さんは夜、家に帰らないで済むように自分だけ泊まって仕事の疲れを癒すつもりだったのかもしれないのに)
亜莉沙がコーヒーを飲み終わったのを見て、航が言った。
「もう出よう」
「あ、うん……」
航と過ごす時間がもう終わると思うと、耐えられないくらい寂しい。せめて気持ちよくお別れしよう。
航は会計係に合図をして伝票を持って来てもらうと、カードで支払いの手続きをした。その間もずっと無言で、亜莉沙の方は見ずに考え込むように眉間にしわを刻んでいる。
「ありがとうございました」
クロークでコートを受け取り、係員に見送られてレストランを出たものの、航は黙ったままエレベーターホールに向かって歩いて行く。彼の横顔が、見たことがないほど険しくて、亜莉沙は胃が締めつけられるような不安を覚えた。
(忙しくしてる彼を気遣ってあげなかった……)