最後の恋愛Ⅱ
「大和、顔、赤くなってるぞ。」

大麦が、小さな声で囁いて、私はますます紅くなって「なっ」と声を上げた。

すぐにハッとして、こほんと咳払いをして大麦に向きなおす。

「何思い出したんだ?」

って、また小さく囁いた。

「べっ、別に?!」

会議室で大麦にされそうになったことを思い出して紅くなったりなんかしてませんよ?

ええ、ほんとうに!

「わ、かりました。こんどは日下部さんにお願いしても大丈夫ですよね?」

「ふ、ああ。」

「じゃあ、15時からですね。失礼します。」

ふいっと顔を背けて、私は自分の席に戻りつつ、日下部さんに指令を出した。

はぁ・・・

何もかも、余裕の大麦と、まったく正反対の年上の私。

嫌になるけど・・・

これは、本当に力の差は明白って奴だよね・・・。

いやいや!

もう、真昼間っから何を色恋事ばっかり考えているんだ、私!

恥ずかしくないのか、いい年をして!

こういうことを考えるのは、仕事が終わってからか、もしくは週末・・・!

・・・

週末・・・は、そうか・・・遊園地か・・・

ハルは、そういうの嫌いだったから、・・・2年以上前に蘭子と行ったっきりだな。
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