最後の恋愛Ⅱ
「・・・分かっちゃったんだ?」

柳生さんの言葉は、つまり、そういうことだ。

「はい・・・分かってしまいました。」

「そっか・・・」

「はい。・・・私、大麦のことが好きです。」

好き―っていうか、好き・・・になってた。

たぶん、最初から。

最初から、好きだった。

あの日、あの夜に、エレベーターの中でキスされて・・・

嫌ってほど愛してやるって、そう言われたあの夜から―。

ううん

多分、「柊」で、あの時に見た大麦のいつもと違う顔を見た・・・あの時から。。。

「けど・・大麦が、私のこと好きって・・・言ってくれるたびに・・・私、怖くなるんです。」

「怖い・・・?」

「・・また、裏切られたら・・・他に好きな人ができたって言われたら・・・如月さんみたいに可愛くて若くて綺麗な女の子が現れたら・・・私、太刀打ちできない。」

し・・・

もう、立ち直れない

もう、今度はない

今度は、誰も・・・私なんかのことを好きなんて言ってくれない。。。

「日下部さんの言ってたとおりよね、ほんと。」

ぐう・・・

の音も出ません。

「すみません。。。」

思わず謝罪して、顔を伏せた。
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