最後の恋愛Ⅱ
さてと―

カチャッ

あ、もう来たか・・・ん・・・?

そこにいるのは、大麦だ。

「お疲れ森くん、準備できた?」

その声にもぐっときそうな自分がいるけど、いやいや騙されないぞ!

「はい、もうそろそろ時間ですよね。」

大麦の後ろで扉が閉まり、大麦の顔から視線をそらして、退出口へと向かうため、仕方なく奴の隣を横切ろうとした。

けれど・・・遮るように大麦が私の前に身体を乗り出す。

・・・

何だ?

「・・・しょ、所長?」

恐る恐る顔を上げる。

大麦は、にっと微笑んで言った。

「で、何で怒ってるんだ?」

はぁ?

何で怒ってるのか、だって?

決まってんでしょ。

あんたが一回もラインしてこなかったからでしょ。

っていうか、これ誤解させるようなことするなよっ!

「べっつに怒ってなんかいませんよ、退いてくれませんか?」

ぎりぎり、私は微笑み返して言った。
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