最後の恋愛Ⅱ
「所長は美術館とかよく行くんですか?」

「いや、来ない。」

そうか、そうだよなぁ。

どう見ても、美術館って感じの男じゃないもんねぇ、大麦は。

「歴史的建造物に興味は?」

「ない。」

おお、ある意味男らしい返答だね。

私は思わず噴出して笑った。

「何で笑ってんの。」

「だって、即答過ぎるでしょ。良いんですか?つまらなくありません?」

そんなこんなで車は美術館の駐車場に入っていく。

車を駐車スペースに止めながら大麦は答えた。

「大和と一緒なら何でも楽しいよ。」

「へぇ~さようでございますか。」

んなわけない。

若干、馬鹿にした口調になってたと思うけど、なんだか今なら気にしなくていいかと思う。

「ま、私はじっくり3週は回りたいと思っていますので、よろしくお願いしますね。」

「3週?!」

おお、ここ一番の驚きっぷりだな!

車が止まって、降車する準備にとりかかる。

「そんなに何を見るんだ?」

「何って、展示物です。」

「そうだなって、じゃなくって3週も何を見るんだって聞いてるんだっての。」

おお、乗りツッコみ!

あははっと思わず声を上げて笑う。

「所長、イメージが崩れまくりですよ。」
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