最後の恋愛Ⅱ
一瞬

だった

いつの間にか身体が大麦の方を向いている

その理由は、大麦に抱きしめられているから。

ぎゅっと苦しいくらいで思わず

「しょ、所長、痛いっ!」

と、大麦の腕の中で声を漏らした。

「あ・・・」

大麦は慌てて腕を緩めた。

それで、気がついた。

大麦・・・

大麦が泣いている。

「え、しょ、所長何で泣いてるんですか?」

思わず問い返す。

「そりゃ、そりゃ泣くだろ、ずっと・・・半年も好きだった女にどうでもいいなんて面と向かって言われたらさ!」

へええええええ・・・

私?

私が泣かしたってことか!

「ちょ、イイ大人のかっちょいい男が、こんなとこで泣かないでくださいよ!」

思わず冷静に辺りを見回す。

おお、大丈夫


今なら誰もいないぞ!

大麦はホロホロと泣きながら再び私を抱きしめた。

「ようやくキスできるまでになったってのに、こんな秒速でフラれるなんて・・・そりゃ泣くだろ。」

「え・・や、けどですね、それは所長に女がいたからであって、私が一方的にフッたというのではなくて。」

泣いてたのは、こっちの方だってのに、何だってこんな焦らなきゃならないんだ!

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