師匠と山猫(仮)

「今回のは少し威力が強すぎましたね、師匠」

ぴょこんと、男の横に子供が現れた。
男はぶすっとして、その子供の頭をワシャワシャとかき乱した。

「あれじゃ楽しむもんも楽しめん」

「はぁい、改良します」

残念そうに呟くと、師匠と呼ばれた男は腰につけた銭袋に手を触れた。

「シケてやがる」

「あまりお金持ちじゃありませんでしたね、あの殿様は」

「土地なんているかっつの。銭を寄越せ銭を」

どうやらどこかの名のある武将になるつもりは、この男にはないらしい。
そうやってふらふらと戦地に赴いては、気が向いたほうの軍勢に加わり、人を斬って帰って来る。

昨日の味方が今日の敵、などということもよくあること。

ただ男が戦地に赴けば、確実に勝利を、そして大量の死をもたらす。
そんな「死神」と呼ばれる男が、ここ最近戦地に子供を連れて来るという。
その子供はすばしこく身軽で、飄々と戦地を走り回っては、火薬を扱い敵も味方も混乱させる。
そんな子供をいつしか侍は、その猫のような珍妙な髪の色から「山猫」と呼んでいる。
「帰るぞ、タマ。」

「あい」

タマと呼ばれた子供は、そう返事をして大きな男について行った。
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

監禁恋情

総文字数/50,016

恋愛(その他)125ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
精神を患った男 その男の為だけに 連れてこられた少女 監禁された部屋での 二人だけの生活―。 二人の愛の結末は―。 ※軽い暴力シーン、主人公たちが軽い軟禁状態にされますが、それほど過激ではないと思います。 ちなみに、この物語は、シリアスなラブコメです。暗くても、これはラブコメです。 2/17 完結しました。
RIRIA

総文字数/28,496

恋愛(その他)55ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
それはまだ、 伯爵や公爵といった貴族たちが 権力を持っていた時代。 有名な貴族の娘であり、 王女付き護衛である少女、 リリアは、 世間に自らが女であることを隠し、 リアトレーゼンと名乗っていた。 ある日、悪名高い海賊の 赤髪の青年と出会い、 そして彼女はーーー。 12/25 加筆修正完了。 「忘れていた当たり前の幸せを 君は私に思い出させてくれたんだ……」
夕暮れ戯曲

総文字数/520

詩・短歌・俳句・川柳8ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
たとえば ふとしたときに 気付いた「素敵」を 言葉にできたら。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop