届屋ぎんかの怪異譚



「でも、あたしは半妖だから、あまり力は強くなくて。萩に言われたの。あたしがその力を使えるのは、きっと一度きりだろうって。……朔が仇をずっと探していると知っていて、……力になれるかもしれないとわかっていて、黙っていてごめんなさい」



「何言ってんだ。そんなの、おまえの謝ることじゃないだろ」



心底不思議そうに言われて、銀花は小さく笑った。



「けど、そんな力があるんなら、その力で親に会ってみようと思わなかったのか」



「ふふ、変よね。でも、今会ってしまうと、もう会えないって。そう思ったら、もっと先、どうしても必要なときのためにとっておいた方が良いんじゃないかと思ったの」



銀花は笑って、今がそのときね、と、小さく言った。



「……これからその力を使って、父様を呼ぶわ」



朔がふたたび目を瞠る。



「呼んで、犬神に喰われた魂たちを幽世へ連れて行ってもらう」



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