新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「私が誰とどこで何しても、ユウにはそれを責めることなんてできないでしょ?」

ユウはレナの言葉に何も答えられない。

「知りたいなら教えてあげる。相川くんと一緒にいたの。お酒飲んでたの。ちょっと飲み過ぎたから、マンションまでタクシーで送ってもらった。」

「……相川って人と…どういう関係?」

ユウはレナから目をそらしたまま尋ねる。

「大学時代にバイト先が一緒だった。」

「…それだけ?」

レナは少し悲しげな目でユウを見て、ユウに背を向けた。

「昔、付き合ってた。」

「えっ?!」

「ユウには黙ってたけど、ホントは初めて付き合った人は水野くん。ユウが急にいなくなっちゃう前に告白されたから。水野くんとはキスしかしなかったけど…。相川くんとは大学時代に付き合ってた。彼が私の…初めての人。ユウが初めてって言うのは、嘘なの。普通に考えて、あの歳まで1度も経験がないとか誰とも付き合ったことないとか…あり得ないでしょ?」

思いがけないレナの言葉に、ユウは呆然としている。

(えっ…?好きになったのも、付き合ったのも…全部オレだけだって言ってたの…嘘…だったのか…?ずっとオレを、騙してたのか…?)

「…って、言ったらどうするの?」

レナは振り返って、ユウの目をじっと見る。

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