新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「ユウ、お待たせ。お腹空いたでしょ?」

レナはできあがった夕飯をテーブルに並べる。

ユウはヘッドホンをつけてギターを弾いていて、声をかけても振り返らない。

レナはユウの前に回り込み、顔を覗き込んだ。

「ユウ?ごはんできたよ?」

「あっ…。」

ユウが驚いて顔を上げた瞬間、ユウの顔を覗き込むレナと目が合った。

ユウは何も言わずレナの目をじっと見つめる。

「どうしたの?」

「…なんでもない。」

二人で席に着き食事を始めるとレナが呟いた。

「夕飯…一緒に食べるの、久し振りだね。」

「うん…久し振りだな。」

「一人で食べるより…おいしいね。」

「そうだな…。」

それから特にたいした会話もないまま、いつもより静かな夕飯は終わった。

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