新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「前に飲みに行った時…なんか様子がおかしいとは思ってたけど、原因はあれか?」

レナは曖昧に笑って、何も答えない。

相川はコーヒーを飲みながら、寂しげに笑みを浮かべるレナの横顔を見ている。

「そんなんでオマエは幸せなのか?」

「どうだろうね…。」

「どうだろうねって…。」

相川は、ケイトに抱きつかれ少し困った顔をしながらも、ケイトにされるがままになっているユウを見て、小さく呟く。

「あんなののどこがいいんだ…。」

「ん?」

「いや…なんでもない。」

相川はレナの頭をくしゃっと撫でて、真剣な目でレナの顔をまっすぐに見る。

「一人で背負い込むくらいなら、オレを頼れ。ヤケ酒くらい、いくらでも付き合う。」

「でも、身の安全は保証できないんでしょ?」

「そうだったな…。でも、レナが嫌がるようなことはしないつもりだぞ?それでもそうなった時は責任取ってやる。」

「何それ…。矛盾してる。」

レナは小さく笑って、ため息をついた。



そんなレナと相川の様子を、ユウはケイトをなだめながら見ていた。

(なんだあれ…。)

何度もかき消そうとした不安が、ユウの胸を覆う。


“懐かしさで勘違いするかもね。”


ケイトの言葉が、一瞬ユウの脳裏を掠めた。

(勘違い…?オレじゃなくて、レナが?)



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