新婚の定義──嘘つきな君と僕──
それから何事もなかったように数日が過ぎた。

`ALISON´のライブツアーの初日が迫り、ユウはスタジオでのリハーサルに通う。

その日はケイトとのコラボ曲を練習するためにケイトもスタジオを訪れた。

相変わらずユウにベッタリのケイトと、強引なケイトにされるがままになっているユウを、メンバーたちは呆れたように見ている。

(そろそろ本気でオレの出番…?)

タクミはユウとケイトを少し離れた場所から、冷ややかな目で見ながらニヤリと笑った。


スタジオでのリハーサル風景を取材しようと、レナと相川がスタジオを訪れた。

レナはいつものようにカメラを構え、黙々と仕事をこなす。

練習の合間に、当然のようにユウを見つめてピッタリと寄り添っているケイトを見ても、レナは眉ひとつ動かさない。

そんな様子を見て相川は怪訝な顔をしていた。



「レナ。」

「ん?」

撮ったばかりの画像を確認しているレナの隣に相川が座り、レナに缶コーヒーを差し出した。

「ずっと気になってたんだけどさ、あれ、オマエの旦那だよな?」

相川は背中越しにユウを親指でさす。

「うん、そう。」

「オマエ、それでいいわけ?」

「いいも何も…。」

「よく知らないオレでも、二人は単なる音楽仲間には見えないぞ。」

「うん…そうかもね。」

レナは缶コーヒーのタブを開け、静かにコーヒーを飲んだ。

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