新婚の定義──嘘つきな君と僕──
取材を終えたレナと相川がスタジオを去ろうとした時、水野がやって来た。

「あっ、高梨先輩、お疲れ様です。」

「お疲れ様。水野くんも取材?」

「ハイ。先輩はもう終わりですか?」

「うん、もう出るとこ。」

「残念だな…。今度良かったら食事にでも行きましょうよ。」

「そうだね。」

水野とレナが会話しているところを、ユウが見ている。

(アイツも…レナと…。)

“過去の男たち”に囲まれて楽しげに話すレナを見て、ユウは唇をかみしめた。


(妬いてる妬いてる…。)

タクミはユウの様子を、笑いをこらえながら見ていた。

タクミは、先にスタジオを出た相川に続こうとしたレナの腕を掴んで呼び止め、いつもより距離を詰めてそばへ近付くと、わざとユウに見えるように、レナにボールペンを差し出した。

「あーちゃん、これ。」

「あっ、これ…。なくしたと思ってた。」

先日、ヒロとタクミとスタジオにいた時に、レナがタクミに貸した物だった。

タクミはわざとレナに返し忘れたフリをして、こっそりと持ち帰ったのだ。


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