新婚の定義──嘘つきな君と僕──
二人はまた手を繋いで歩き出した。

二人でひとつのジェラートを分け合って食べた後、海に面したベンチに座って海を眺めた。

「海っていいよね。」

「神戸は港町だからかな。白浜とはまた全然違う。」

「ねぇユウ見て、大きな船だね。」

レナは着岸したばかりの白い船を指さす。

「あれってなんの船なの?」

「行ってみる?」

中から満足そうに笑う乗客が降りて来るその船は、神戸の海を周遊する遊覧船だった。

「今からでも乗れるみたいだ。乗ってみる?」

「乗りたい!!」

チケットセンターで遊覧船の次回の周遊乗船券を買い、まだ時間があるので、チケットセンターに並ぶお土産を少し見て回った。

「後で、みんなに買って行こうか。」

「そうだね。」


二人が乗船する時間が近くなると、他の乗客に混じってユウとレナも列に並んで待った。

人目を引く二人は、やはりここでもすぐに周囲から注目の的になったが、それはそれで楽しむことにしようと、時々手を振られると軽く会釈したり、手を振り返したりした。

ようやく乗船開始時間になり、二人は船内に入ってテーブル席に座る。

「ティータイムクルーズで選べるケーキがおいしいらしい。」

「そうなの?」

「って、他の人たちがそう言ってた。」

「そうなんだ。楽しみだね。」

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